この度、駐イタリア大使としてローマに着任致しました片上慶一です。9月21日、マッタレッラ大統領に信任状を捧呈し、本格的に公務を開始しました。 在留邦人及び旅行者の皆様の安全確保は、大使館の最重要任務です。近年近隣の欧州諸国でテロ事案が連続して発生しています。イタリアでは幸いにして近年は大きなテロ事案は発生していませんが,いつテロの標的になってもおかしくないと言われています。また,盗難などの犯罪が少なくなく,邦人の方の被害も絶えないのが残念ながら実情です。大使館としても日常からイタリアの関係当局との連絡を緊密にしつつ、迅速かつ的確な情報提供に努めていく所存です。 また,在外公館では、外務本省の指揮の下、「世界一開かれた、相談しやすい公館」をモットーに、各地の事情に応じたきめ細やかな日本企業支援を目指しています。近年、在外公館による支援件数は増加しており、2016 年度は全在外公館による支援件数が5万件を超えました。このような中、当館としては、日系企業に開かれた大使館として引き続き幅広い支援を行っていくとともに、イタリア政府と日系企業界の橋渡し役を務めたいと考えております。 日本とイタリアは伝統的に良好な関係にあり,自由、人権、法の支配など共通の価値を有するパートナーです。日伊国交150周年を迎えた2016年は秋篠宮同妃両殿下がイタリアをご訪問になり、各地で温かい歓迎を受けられました。また、両国は首脳等ハイレベルで強固な関係が構築されてきています。 草の根レベルでも,ここ数年のイタリア人観光客の増加など,とくにイタリア人の日本に対する関心は高まっているように思えます。150周年の機会に、両国で様々な交流事業が開催され、イタリアでも日本の文化芸術への関心を大きく喚起しました。今後とも,良質な文化事業,東京オリンピック・パラリンピックに向けたスポーツ交流の促進等や現代の我が国や政策にかかる情報の発信を通じて,日伊の相互理解に努めていく所存です。 経済・産業分野では、両国は製造業の重要性など共通点がある中で,最近では直接投資の増加も見られますが,両国の経済規模に比べると貿易面を含めさらに拡大の余地があると考えます。また,少子高齢化の進展、財政健全化の重要性、中小企業の中心的役割等に共通の政策課題を持っており、互いに学ぶ意義も高まっています。今年7月に大枠合意に達した日EU経済連携協定(EPA)も踏まえ、更なる関係強化が図られるよう努めてまいります。 また、ローマに本部のある国連食糧農業機関(FAO)、国連世界食糧計画(WFP)、国際農業開発基金(IFAD)に関しては,世界の食糧問題の改善等、国際社会における喫緊の課題解決に向けて、これら機関との連携強化や邦人職員の昇進支援・増強に努めてまいります。 皆様のご意見やご協力を頂戴しながら、政治、経済、文化などあらゆる領域で未開拓な分野を発掘し、良好な関係の発展に力を尽くす所存です。大使館は常に皆様に開かれておりますので、何かありましたらいつでも大使館にご連絡下さい。
2017年10月12日
駐イタリア日本国大使 片上 慶一 |
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