1 治安情勢
警察による治安対策が一定の成果を挙げているものの、スリ、ひったくり等の軽犯罪は依然として多数発生している。また、リビア等近隣国における法執行機能の不全等を背景として、島嶼部を含むイタリア南部に、多数の移民が短期間で押し寄せ、特別在留許可を得た者を含む多数のアフリカ系移民が都市部に流入している。
2 日本人被害例
スリ等の被害件数については、前四半期と比較して増加傾向にある。細部の被害状況については、以下のとおり。
(1)スリ 30件(4月~6月 23件)
ア ローマ市内の混み合った美術館を出た後、カバンが開いていたことから、中を確認するとパスポートがなくなっていた。
イ ローマ市内の地下鉄に乗車中、リュックを足元に提げていたところ、チャックが開いていたことから、中を確認するとパスポート・航空券がなくなっていた。
ウ ローマ市内の混み合ったバスに乗車中、リュックサックのサイドのチャックが開いていたことから、中を確認するとパスポートを入れたポーチがなくなっていた。
エ スペイン広場を観光中、リュックサックが開いていたことから、中を確認するとパスポート等を入れていたポーチがなくなっていた。
(2)置き引き 16件(4月~6月 7件)
ア ミラノ中央駅内のバールにおいて朝食を摂っていたところ、横の座席に置いていたカバンを盗まれた。
イ ローマ市内のレストランの路上側テラスで食事をしていたところ、横の座席に置いていたカバンを盗まれた。
ウ ローマからベネツィア間の電車に乗った際、網棚にカバンを置いていたところ、目を離した隙に盗まれた。
(3)ひったくり 3件(4月~6月 2件)
ナポリ市内の路上において横断歩道を渡っていたところ、背後からバイクに乗った者に、斜め掛けしたバッグをひったくられた。
3 殺人・強盗等凶悪犯罪例
外国人が被害者となった事件(性犯罪)が発生したものの、日本人の被害については認められなかった。同事件等の概要については、以下のとおり。
(1) 殺人
ア 7月7日
ナポリ郊外のアパートにおいて、25歳男性が35歳男性に殺害された。警察の調べによると、加害者は被害者の交際中の女性に好意を持っていたことから、被害者への嫉妬による犯行とみられている。
イ 7月14日
ローマ市内の住宅外において、79歳男性がその妻を殺害した。死因は頭部をビニール袋で覆う窒息によるものであり、加害者は実行後、自宅のバルコニーより投身自殺を遂げている。警察の調べによると、被害者である妻は長年に渡る闘病生活にあり、加害者はこれを苦にして心中を図ったものとみられている。
ウ 8月8日
バーリ県の一般道において、57歳男性が車両を運転中、何者かにより射殺された。目撃者の証言によると、加害者はバイクで同車両に接近し、マシンガンを発砲している。これにより被害男性は即死、同乗していた妻は重傷を負った。なお、被害者は違法薬物譲渡の犯歴があり、過去の人間関係を含め警察が細部を捜査中である。
エ 8月15日
ローマ市内の路上において、女性の切断遺体が発見され、後日、被害女性の兄が逮捕された。警察の調べによると、犯行動機について加害者は金銭関係によるものと供述している。
オ 9月6日
ナポリ市内の路上において、2名の男性がバイクを運転中、何者かにより射殺された。目撃者の証言によると、加害者はヘルメットを被った二人組であり、被害者らと同様、バイクに乗車し、接近・発砲している。なお、被害者らは犯罪組織の構成員であり、同組織の人間関係を含め、警察が細部を捜査中である。
(2)強盗・窃盗
ア 7月1日
ナポリ市内の郵便局に、営業中、強盗が押し入り、現金を強奪した。これまでの警察の捜査によると、強盗犯は同事務所の防弾扉を装甲車の衝突により破壊し、犯行後、別の車両(バイク)で逃走している。現在のところ、警察がその他の事項について捜査中である。
イ 8月16日
ローマ市内の郵便局に、営業中、銃武装した強盗2名が押し入り、現金を強奪した。警察の監視カメラ画像の解析により、後日、同人らは逮捕されている。
ウ 9月5日
ローマ市内のスーパーマーケットに、夜間の営業中、銃武装した強盗が押し入り、現金を強奪した。同人は徒歩による逃走を企てたものの、付近にいた警察官により逮捕されている。
(3)性犯罪
ア 9月9日
ローマ市内テルミニ駅付近の路上において、フィンランド人女性が、バングラデシュ人男性により強姦被害を受けた。事件当時、被害女性は深夜までバーで過ごし、帰宅途上にあったところ、加害男性が声を掛け、犯行に及んだものとみられている。後日、加害男性は警察により逮捕されている。
イ 9月18日
ローマ市内のボルゲーゼ公園において、ホームレスの57歳ドイツ人女性が強姦被害を受けた。事件当時、同人は、手首と足首を拘束され、自由を奪われた状態で被害を受けたものとみられている。現在のところ、警察が細部を捜査中である。
4 テロ・爆弾事件発生状況
特になし。
5 誘拐・脅迫事件発生状況
特になし。
6 対日感情の変化
特になし。
7 日本企業の安全に関する諸問題
特になし。
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