日本の安全に関する当館からのレターの発出

 

 

先日、当館より地元新聞社に対し、日本の安全に関して以下のレターを発出し、その一部が同紙に掲載されました。以下は全文です。

 

 

 


編集長殿

 

 13日付及び15日付貴紙に掲載された、日本でのMotoGP開催に関する記事には、東電福島第一原発事故の影響につき、事実に反する記述が含まれており、読者の誤解を招くおそれがあることから、この場を借りて現状につき正確な情報とともに説明したい。

 

 両記事は、本年10月2日に東京の北約120キロにある栃木県茂木町(もてぎまち)で開催予定の2011 MotoGP第15戦に関し、一部レーサーが原発事故による影響を懸念していることを伝えている。しかし、実際に同町や選手等の宿泊地である茨城県水戸市で現在観測されている放射線量は、概ね毎時0.1マイクロシーベルトであり、これは3月に訪日したイタリア政府調査団の報告書にあるローマの平均値(毎時0.25マイクロシーベルト)を大幅に下回っている。また、同地は、70キロと書かれている記事の記述とは異なり、東電福島第一原発からは直線距離で120キロ以上離れており(道路走行距離は約170キロ)、イタリア外務省により渡航の是非を考慮すべきとされる地域(同原発から80キロ以内)にも含まれていない。

 

同地周辺で生産される農産品についても、放射性物質のモニタリング検査を実施しており、必要に応じて出荷制限等の措置をとる。しかし、実際に8月に自治体が実施した検査では、栃木県及び茨城県産の主要農産物、原乳、及び豚肉・鶏肉・鶏卵からは暫定規制値を超える放射性セシウム及び放射性ヨウ素は検出されておらず、水道水については放射性セシウムも放射性ヨウ素も検出されていない。なお、肉牛が屋外に放置された稲藁を餌として与えられたことで、規制値を超える放射性セシウムが一部の牛肉から検出された事案については、出荷された牛肉の流通調査を実施し必要に応じて回収等の措置をとっている。また、規制値を超えた牛肉が新たに流通しないよう、必要に応じて出荷制限等の措置をとるとともに、適切な出荷計画の策定及び検査体制の強化を行っている。

 

 イタリア政府のみならず、WHOICAOといった関係国際機関も、日本への渡航制限といった過度な対応は必要ないとの客観的な評価を行っている。茂木町や水戸市のみならず、読者の皆さんには安心して観光・留学・ビジネス等で日本を訪問いただきたい。それが復興に向けて歩み始めた日本にとっての何よりの支援である。

 

また、この場を借りて、イタリア政府及び国民が様々な形で、今時震災により大きな影響を受けた日本国民を励まし、支援してくれたことに対し心から御礼を申し上げたい。

在イタリア日本国大使館