2020年5月17日首相令(抄訳)

令和2年5月18日

第1条 全国土における感染拡大防止緊急措置

1 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため,全国土で以下の対策を講じる。
a)  熱(37.5度以上)に特徴付けられる呼吸器系感染症を発症している者は,かかりつけ医師に連絡し自宅に留まらなければならない。
b)  公園,ヴィッラ,公共庭園へのアクセスは,2020年5月16日緊急政令第33号第1条8項の人の集合禁止及び最低1メートルの対人距離確保の厳格な遵守に基づかなければならない。未成年は,家族,同居者又は当該未成年の世話を委任されている者と共に公園,ヴィッラ,公共庭園内の遊具が設置される場所で,別添8のガイドラインを遵守した上で,屋外の娯楽・レクリエーション活動を行うことが出来る。
c)  2020年6月15日以降,児童及び青少年は,児童・青少年を監督する係員支援及び,別添8のガイドラインに準じた安全プロトコール採用の義務の下,娯楽・レクリエーション・(非公式なものを含む)教育活動のための屋内外の場にアクセスすることが許される。州及び特別自治県は,上記活動の実施が自州の感染状況の進展と両立するか事前に確かめるという条件及び,国が制定するプロトコールやガイドラインの原則を尊重し,感染リスクの予防又は低減に適したプロトコール又はガイドラインを設定するという条件の下,日程を前倒しあるいは後ろ倒しし,別の再開日を設定することができる。
d)  省略(公共の場等でのスポーツ(対人距離最低2メートル)及び運動(対人距離最低1メートル)は可能)
e)  省略(スポーツイベントの禁止。個人やチームでの練習は,対人距離規定を遵守し,人の集合を避けつつ,(見学者等を入れない)クローズドで再開可能)
f)  基礎スポーツ活動及び一般的な運動は,公営私営を問わず,ジム・プール・スポーツセンター・スポーツサークル,あるいは体を動かすことによる個人の健康管理活動のための施設で,対人距離規定の遵守及び人の集合を避けることで,2020年5月25日から可能となる。
g)  省略(上記e)及びf)関連)
h)  省略(スキー施設の閉鎖)
i)  省略(大規模集会・デモ活動)
l)  省略(ゲームセンター等の閉鎖)
m)  劇場,コンサートホール,映画館,その他野外を含む空間での観客を伴う公演は2020年6月14日まで停止される。2020年6月15日以降これらの公演は,間隔を空けた指定席のもと,係員及び観客同士の対人距離最低1メートルが確保されることを条件に実施される。1公演につき,野外の場合は観客最大1000人まで,屋内の場合は1会場につき最大200人まで。州や特別自治県は,自州の感染状況の進展に鑑み,別の再開日を設定することができる。公演活動は別添9のガイドラインに従って企画される。本項の条件が遵守できないような閉鎖空間あるいは屋外での人の集合を伴うイベントは引き続き禁止される。ダンスホール,ディスコまたはそれに類似する場所での活動は屋内外を問わず,また展示会や大規模会議も引き続き禁止となる。
n)  宗教の場へのアクセスは,場所の規模と特徴を考慮し,人の集合を回避できるような,また信者に最低1メートルの対人距離を確保できる可能性を保証した措置をもって可能となる。
o)  人の参加を伴う宗教儀式は,別添1~7のそれぞれの宗教と政府が合意したプロトコール遵守のもと実施される。
p)  美術館やその他文化施設及び場所の市民への開放は,これら施設及び場所が市民に開放される場所の規模や特徴,また訪問者数(およそ年間10万人)を考慮し,入場規制の採用又は人の集合を避け,訪問者同士が最低1メートルの対人間隔を遵守できるようなモダリティを保証する条件で認められる。当該サービスは州又は州・特別自治州会議が採用したプロトコール又はガイドラインを考慮して企画される。美術館やその他文化施設及び場所の運営者及び支配人は,場所及びそこで実施される活動の特徴を考慮して,訪問者の感染予防と防護,及び職員の保護に関する特別措置を特定することができる。
q)  幼児教育サービス,あらゆる種類・レベルの学校に出席して行われる教育活動,学校活動及び大学,芸術・音楽・舞踊の高等専門教育,専門教育コース,マスターコース,保健衛生職員養成及び高齢者用大学コース,その他地方公共団体及び私人が運営する専門コース及び研修活動を行う施設を含む高等教育への通学は禁止される。いずれにせよ,遠隔での教育活動実施の可能性は変わらず保証される。(以下省略:医学関連教育の例外,5月20日から道路交通事務所や自動車教習所が実施する理論及び実技試験用のコース再開,等)
r)~cc) 省略
dd) 小売商業活動は最低1メートルの対人距離を確保する以外に,客同士の入店をずらし,商品購入に必要な時間以上に客を店内に留まらせない条件で行う。上記活動は,国が制定するプロトコールやガイドラインの原則を尊重し,いずれにせよ別添10の基準との一貫性がある形で,州又は州・特別自治州会議が採用した関連部門又は類似の環境における感染リスクの回避または低減に適したプロトコール又はガイドラインの内容を遵守し実施される。更に,別添11の措置適用を推奨する。
ee) 飲食業サービスの活動(バール(喫茶),パブ,レストラン,ジェラート屋,菓子店を含む)は,州及び特別自治県が,上記活動の実施が自州の感染状況の進展と矛盾しないか事前に確かめるという条件及び,関連部門又は類似の環境における感染リスクの回避又は低減に適した,採用可能なプロトコール又はガイドラインを特定するという条件の下,再開することができる。当該プロトコール又はガイドラインは,国が制定するプロトコールやガイドラインの原則を尊重し,いずれにせよ別添10の基準との一貫性がある形で,州又は州・特別自治州会議により採用される。(以下省略:契約ベースの食堂及びケータリングサービス,宅配サービス,持ち帰りサービス,高速道路のサービスエリア内における飲食業サービスについては,今までの首相令と同様の条件で許可される)
ff) 省略(病院や空港内での飲食業サービス)
gg) 対人サービスの活動は,州及び特別自治県が,上記活動の実施が自州の感染状況の進展と矛盾しないか事前に確かめるという条件及び,関連又は類似部門における感染リスクの回避又は低減に適した,採用可能なプロトコール又はガイドラインを特定するという条件の下,再開することができる。当該プロトコール又はガイドラインは,国が制定するプロトコールやガイドラインの原則を尊重し,いずれにせよ別添10の基準との一貫性がある形で,州又は州・特別自治州会議により採用される。2020年4月26日首相令を基に既に再開を許可された対人サービスの活動の実施は変わらない。
hh) 銀行・金融・保険業,農業,食品加工関連業の活動は,衛生基準を尊重しつつ,保証される。
ii) 省略(地方公共交通機関に関する州知事の権限)
ll) 省略(専門職業)
mm) 省略(海水浴場)
nn) 省略(宿泊施設)
 

第2条 生産・産業・商業活動を安全に行うための感染抑止措置

1 全国土において,本首相令第1条で規定された活動を除き,全ての生産・産業・商業活動は,別添12の政府と労働組合側が2020年4月24日に決定した労働環境における新型コロナウイルスの感染抑止及び拡大防止措置の規則に関して合意したプロトコールの内容のみならず,それぞれの環境で,別添13のインフラ・運輸相,労働・社会政策相と労働組合側が2020年4月24日に決定した工事現場における新型コロナイルスの感染拡大抑止及び拡大防止措置の規則に関して合意したプロトコール及び別添14の2020年3月20日に合意された運輸とロジスティック部門における新型コロナウイルスの感染抑止及び拡大防止措置に関して合意したプロトコールを遵守する。
 

第3条 全国土における情報及び予防措置

1 全国土において,以下の対策を講じる。
a)  省略(医療関係者の感染予防)
b)  省略(高齢者及び慢性疾患患者の外出自粛)
c)  ~ e) 省略
 

第4条 イタリアへの入国に係る規定

1~2 省略
(当館注:入国のために利用する公共交通機関への自己宣誓書提出義務,搭乗中の個人防護具の着用等に関しては従来から変更なし。以下,これらの義務の適用除外となる対象に変更が加わった。)
 
3 伊に入国する人は,何ら症状がなかったとしても,地域を管轄する保健公社の予防局(Dipartimento di prevenzione)に対し伊に入国したことを通報する義務を負うとともに,健康観察下におかれ,宣誓書に記した住居あるいは居所で14日間の自己隔離に付される。Covid-19ウイルスの症状を発症した場合には,専用電話番号を通じて,かかる状況を速やかに保健公社に通報する義務を負う。
 
4~8 省略

9 上記1~8の規定は以下には適用されない。 
a) 交通機関の乗務員
b) 物流分野における運転手
c) 証明される業務上の理由により伊に入国する欧州連合加盟国・シェンゲン協定加盟国・アンドラ・モナコ公国・サンマリノ共和国・バチカン市国・グレートブリテン及び北アイルランド連合王国の市民ならびに居住者(residente)
d) 2020年3月17日緊急政令第13号が定める一時的な業務含め,保健医療分野の専門的業務に従事するために伊に入国する医療関係者
e) 業務後の帰宅を含め,証明される仕事上の理由のために外国との国境を出入りする労働者
f) 伊に72時間以内(必要に応じ更に48時間延長可)の滞在をし国外へ移動する,伊国内に本社または支社を持つ企業の従業員
g) サンマリノ共和国・バチカン市国へ/からの移動
h) 欧州連合・国際機関の職員等。外国公館の外交官,官房・技術専門職員及び領事職員
i) 勉学のため住所・居所のある国とは異なる国に毎日あるいは最低週一回通学する学童・学生
 
10 省略
 

第5条 イタリアでのトランジット及び短期滞在

1~9 省略
(当館注:従来の規定から変更なし。以下,第4条同様,適用除外となる対象に変更が加わった。)
 
10 上記1~9の規定は以下には適用されない。 
a) 交通機関の乗務員
b) 物流分野の運転手
c) 証明される仕事上の理由により伊に入国する欧州連合加盟国・シェンゲン協定加盟国・アンドラ・モナコ公国・サンマリノ共和国・バチカン市国・グレートブリテン及び北アイルランド連合王国の市民ならびに居住者
d) 2020年3月17日緊急政令第13号が定める一時的な業務含め,保健医療分野の専門的業務に従事するために伊に入国する医療関係者
e) 業務後の帰宅を含め,証明される仕事上の理由のために外国との国境を出入りする労働者
f) 伊に72時間以内(必要に応じ更に48時間延長可)の滞在をし国外へ移動する,伊国内に本社または支社を持つ企業の従業員
g) サンマリノ共和国・バチカン市国へ/からの移動
h) 欧州連合・国際機関の職員等。外国公館の外交官,官房・技術専門職員及び領事職員
i) 勉学のため住所・居所のある国とは異なる国に毎日あるいは最低週一回通学する学童・学生
 
11 省略
 

第6条 海外へ/からの移動に係る規定

1 2020年6月3日以降,2020年緊急政令第33号1条3項が定める国内特定地域に対する制限並びに同緊急政令1条4項が定める特定の国と地域からの到着に対する制限を除いて,以下の国へ/からの移動はいかなる制限も受けない。
a) 欧州連合の加盟国
b) シェンゲン協定加盟国
c) グレートブリテン及び北アイルランド連合王国
d) アンドラ,モナコ公国
e) サンマリノ共和国,バチカン市国
 
2 2020年6月3日から15日までは,証明される業務上の必要性・極めて緊急性の高い事態・健康上の理由を除き,1項で定められた国と地域以外へ/からの移動は禁止されたままとなる。いずれにせよ,自らの住所・居住地・居所への帰還は認められる。
 
3 2020年6月3日以降は,第4条及び5条の規定は1項で定められた場所以外の国と地域から伊に入国する者あるいは伊への入国に先立つ14日間にそれらの国と地域に滞在した者にのみ適用される。
 

第7条 クルーズ船及び外国籍船舶に係る規定

省略(伊船籍クルーズ船の運行停止,伊の港で下船した乗客の扱い等)
 

第8条 定期路線の公共交通機関に係る規定

省略(当館注:運行における感染防止プロトコールの採用等,利用者ではなく運行側に関わる規定)
 

第9条 障害者に関する特別規定

省略
 

第10条 措置のモニタリング実施規定

省略
 

第11条 最終規定

1 本首相令の規定は,2020年4月26日首相令に代わり,5月18日から適用され,6月14日まで有効である。
 
2 本首相令で規定される個々の措置の有効期限はその例外となる。
 
3 省略
 
2020年5月17日 ローマ
 
コンテ首相 (署名)
スペランツァ保健相 (署名)
 

別添 

別添1~別添7: 各宗教に関するプロトコール
 
別添8: 新型コロナウイルスの第2フェーズにおける児童と青少年の社交及び遊戯機会の安全管理のためのガイドライン
 
別添9: 生公演及び映画
3 観客のマスク利用義務
8 食料品の消費及び販売禁止
11 可能な限り現金による支払いを制限
 
別添10: 2020年5月15日科学・技術委員会作成の部門別プロトコール基準
選択及び技術的方針を形成する主原則
1 ソーシャルディスタンス:1メートル以上の対人距離確保
2 手,職員,環境の厳格な衛生
3 地方公共保健機関及び病院による医療サービスの監督及び対応能力
 
別添11: 商業施設の措置
5 閉鎖空間でのマスク利用義務
6 購買活動(特に食料品)における使い捨て手袋利用義務
7 入場規制及び時間差を設けた入店
 
別添12: 政府と労働組合側が合意した労働環境における新型コロナウイルスの感染抑止及び拡大防止措置の規則に関するプロトコール
 
別添13: 工事現場における新型コロナイルスの感染拡大抑止及び拡大防止措置の規則に関するプロトコール
 
別添14: 運輸とロジスティック部門における新型コロナウイルスの感染抑止及び拡大防止措置に関するプロトコール
 
別添15: 公共交通機関に関する新型コロナウイルスの感染抑止及び拡大防止措置のための利用者への情報及びモダリティに関するガイドライン
  • 対人距離の保証,正しい衛生措置の実施,感染リスク拡大に資する行動回避のため,公共交通機関利用者個人の責任が本質的な点となる。
  • マスクは引き続き着用を義務とする
  • 同居する者同士の場合は1メートルの対人距離確保は必須ではない。
 
別添16: 保健衛生措置

別添17: 2020年5月16日州・特別自治県会議による経済及び生産活動再開のためのガイドライン
● 飲食業
  • 入店の際体温を測定し,37.5度以上の際は入店を拒否することができる。
  • 店内で食事をする店では,予約を通じた来店を優先し,予約者のリストは14日間保管する。当該活動において,店内の席数より多くの客が入店することは禁止される。
  • 店内や,テーブル又はカウンターでの食事の際,客同士最低1メートルの対人距離を確保する。(飲食の際)テーブルから立つ場合は必ずマスクを着用すること。
  ※カンパニア州では,対人距離1メートルは(客同士ではなく)テーブル間の距離とする。
● 観光業(海水浴施設) (省略)
● 宿泊施設 (省略)
● 対人サービス(美容院,エスティックサロン)
  • 予約した場合のみ入店可能,予約者のリストは14日間保管する。
  • 入店の際体温を測定し,37.5度以上の際は入店を拒否することができる。
● 小売業
  • 特にスーパーや商業施設では,入店の際体温を測定し,37.5度以上の際は入店を拒否することができる。
  • 衣料品販売店は客用に使い捨て手袋を準備し,客は自主的に商品を触りながら選ぶ際に手袋を着用する義務がある。
  • マスクの着用義務
● 公共エリアでの小売業(市場等)
  • 特に食料品の購買に関して使い捨て手袋の利用すること
  • 対人距離1メートルが確保できない場所ではマスクを着用
● 市民がアクセスする事務所(省略)
● プール(省略)
● ジム(省略)
● 緑地・植物のメンテナンス(省略)
● 博物館,資料館,図書館
  • 入館の際体温を測定し,37.5度以上の際は入館を拒否することができる。
  • 入館者は常にマスクの着用義務を負う。