8月7日首相令(本文抄訳)及び同令別添15、20(仮訳)
令和2年8月13日
8月7日首相令(本文抄訳)
当館注
1 この8月7日首相令は6月11日首相令をベースとしています。以下では、6月11日首相令からの主要変更点等を中心に抄訳しました。6月11日首相令については以下をご覧ください。
https://www.it.emb-japan.go.jp/itpr_ja/covid_19_20200611DPCM.html
2 以下の条項に関し、末尾の別添20の通り、日本はリストD国。
第1条 伊国土における感染抑制の緊急措置
1 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、伊全土において、公共交通機関を含む公衆がアクセスできる屋内の場所、また、対人距離の確保が常時可能でない全ての場において、マスクの着用が義務付けられる(訳注:6歳以下の子供、マスクの継続的な利用ができない障害者等にかかる例外あり)。2 (訳注:一定の例外を除き)少なくとも1メートルの対人距離を保つことが義務付けられる。
6 e) 2020年9月1日から、屋外のスタジアムの場合は最大1000人の観客を超えず、また屋内のスポーツ施設の場合は最大200人の観客を超えない、小規模なスポーツイベントについて、一般の観覧が認められる。
第4条 海外から/への移動に対する制限
1 別添20のリストEの国・地域から/への移動、伊への入国に先立つ14日間にリストEの国・地域に滞在又は乗り換えをした者の伊への入国及び乗り換え、別添20のリストFの国・地域への移動は禁止される。ただし、次に挙げる理由のうち1つ以上に該当し、第5条1項が定める宣誓書を通じてこれが証明される場合を除く。a) 業務上の必要性
b) 極めて緊急性の高い事態
c) 健康上の必要性
d) 修学上の必要性
e) 自身の住所・居住地・居所への帰還
(以下略)
2 別添20のリストFに記載された国・地域に直前14日間に乗り換えまたは滞在した者は伊に入国、乗り換えを禁止される。ただし、以下の者は除く。
3) 職務を遂行する、欧州連合・国際機関の職員等、外国公館の外交官、官房・技術専門職員及び領事職員、軍職員
第5条 海外から伊に入国する際の宣誓書の提出義務
1 第4条に定められた伊への入国に関する禁止・制限事項は有効のままとしつつ、別添20のリストB、C、D、E、Fに記載された国・地域から伊に入国する者は、伊国内での滞在期間に関わらず、(伊への入国のための)公共交通機関に乗る際、運行者あるいはコントロール担う者に対し、以下の確認事項を明確かつ詳細に記した宣誓書を提出する義務がある。a) 伊への入国に先立つ14日間に当該入国者が滞在又は乗り換えをした外国・地域
b) 別添20のリストE及びFの国・地域から伊に入国する場合、第4条に対応する移動の理由
c) 伊への入国に先立つ14日間に、別添20のリストC、D、E、Fの国・地域のうち1つ以上に滞在または乗り換えをした場合においては、
1) 入国後に健康観察及び自己隔離を行う伊国内の住居あるいは居所の住所。
2) 1)の場所へたどり着くための私的な交通手段。あるいは、定期航空便を通じて伊に入国する場合においてのみ、最終目的地にたどり着くために利用する定期航空便の情報並びに旅行チケットの識別コード。
3) 健康観察及び自己隔離中の連絡先となる電話番号・携帯電話番号。
4) 6条6項及び7項に挙げる事由のうち該当する事由。
2 伊への入国に先立つ14日間に別添のリストC、D、E、Fの国・地域に滞在又は乗り換えをした者は、何ら症状がなかったとしても、地区を管轄する保健公社の予防局(Dipartimento di prevenzione)に対し伊に入国したことを速やかに通報する義務がある。
3 Covid-19の症状を発症した場合には、全ての人について、専用電話番号を通じてかかる状況を速やかに保健公社に通報するとともに、保健当局の決定に従って自己隔離を行う義務がある。
第6条 海外からの入国後の健康観察及び自己隔離
1 伊への入国に先立つ14日間に別添のリストC、D、E、Fの国・地域に滞在又は乗り換えをした者は、何ら症状がなかったとしても、以下の義務を負う。a) 伊に入国した場所又は伊に入国するために利用した公共交通機関を降りた場所からの移動行程では、3項で述べる空港でのトランジットの場合を除き、第5条1項c)に従って指定した私的な交通手段のみを用いる。
b) 第5条1項c)に従って指定した住居又は居所で14日間の健康観察及び自己隔離に付される。
2 1項a)の例外として、定期航空便を通じて伊に入国した場合には、空港施設内の指定されたエリアから離れないことを条件に、別の定期航空便を通じて、第5条1項c)に従い宣誓書に記した最終目的地まで旅を継続することが認められる。
3 1項及び2項に関して、伊に入国した場所又は伊に入国するために利用した公共交通機関を降りた場所から、健康観察と自己隔離を行う場所として宣誓書に記した住居あるいは居所まで、私的な交通手段を通じてたどり着くことが不可能である場合、地区を管轄する保健当局がその旨を速やかに防災庁州支部に伝達する。防災庁州支部は、防災庁本部と連絡し、入国者が健康観察及び自己隔離を行う場所とその方法を決定する。この場合にかかる費用は対象となる入国者の負担とする。Covid-19の症状を発症した場合には、当該入国者は、専用電話番号を通じてかかる状況を速やかに保健公社に通報する義務がある。
4 Covid-19の症状を発症した場合を除いて、1項及び3項が規定する方式に従って健康観察及び自己隔離を行っている期間中に、対象者が保健当局に連絡した場所とは別の住居あるいは居所に移り、新たな健康観察及び自己隔離期間を開始することはつねに認められるが、その場合には、第5条1項が規定する宣誓書を保健当局に送付し、移動行程を示すとともに、新たな住居又は居所へ私的な交通機関のみを用いて移ることを確保する。保健当局は、当該通知を受け取ったら、コントロール及び管轄の確認のため、これを速やかに地区管轄保険公社の予防局に転達する。
6 (訳注:交通機関の乗組員、リストA国との往来等における適用除外)
7 Covid-19の症状を発症しておらず、また、伊への入国に先立つ14日間に別添20のリストC及びFの国のうち1つ以上に滞在又は乗り換えをしていなければ、第5条の義務は有効のままとして、1項から5項の規定は以下に対しては適用されない。
c) 証明される業務上の理由により伊に入国する、別添20のリストA、B、C、Dの国・地域の市民及び居住者(residente)
f)(訳注:イタリア国外での滞在が)120時間を超えない、証明される業務上の理由のために国外へ移動する、伊国内に本社または支社を持つ企業の従業員
g) 欧州連合・国際機関の職員等、外国公館の外交官、官房・技術専門職員及び領事職員、軍職員
h) 勉学のため住所・居所のある国とは異なる国に通い、毎日あるいは最低週一回帰宅する学童・学生
第8条 クルーズ船、及び外国籍船に関する規定
1 伊船籍の客船によるクルーズの運航は、2020年8月15日から、専用のガイドライン(本首相令別添17)を遵守する場合にのみ行うことが出来る。2 クルーズ船のサービスは、健康観察及び/又は自己隔離に付されていない者あるいはそれらを義務づけられていない者であって、乗船に先立つ14日間に別添20のC、D、E、Fのリスト国・地域に滞在又は乗り換えをしていない者により利用されることが出来る。
3 クルーズ船の運航を認可する目的に鑑み、船舶の出発前に船長は、海事当局に対して、以下の点につき記した所定の宣誓書を提出するものとする。1)第1項が規定するガイドラインを遵守する全ての必要な対策が取られていること、2)クルーズ終了までに停泊する港並びにそれらの到着及び出発の日程、3)前項の規定を遵守する観点から、乗客の国籍及び乗客がどこから来ているか。
4 クルーズの運航に供されている外国籍船の伊の港への入港は、最後の寄港地が別添20のA、Bのリスト国・地域に位置する港にあった客船であって、全ての乗客が伊の港への入港の直近14日間に別添20のC、D、E、Fのリスト国・地域に滞在又は乗り換えをしていない場合のみ認められ、第1項のガイドラインが船上で遵守されていることが前提である。
5 寄港は別添20のA、Bのリスト国・地域の港のみで認められ、(陸上での乗客の)自由な散策は禁じられる。
第12条 最終規定
1 本首相令の規定は、2020年7月14日付首相令により延長された2020年6月11日付首相令に代わり、2020年8月9日から適用され、2020年9月7日まで効力を持つ。2020年8月7日 ローマ
コンテ首相 (署名)
スペランツァ保健相 (署名)
8月7日首相令別添15、20(仮訳)
別添15:公共交通機関サービス利用者に対する勧告及びCOVID19の感染拡大防止のための組織的対策に関するガイドライン(概要)(注:基本的に事業者に対するガイドライン)
a) 一般的対策:全交通モードに有効な、遵守すべき一般的な規則は次のとおり。
・ 公共交通機関へアクセスする施設(鉄道駅、バス停等)の入口や内部、乗り物内部では、鼻と口の保護のために、マスク着用が義務。
・ 体温37.5℃以上と確認された場合の、事業者による乗客等の扱いの明確化。
・ 駅や空港等で最低1mの対人距離を確保するため、必要に応じ入口で入場制限実施。
・ 乗り物への乗降、主要駅、バスターミナル、空港等での移動中、乗客の待合場所及び乗り物内部において、最低1mの対人距離を確保しつつ(未成年及び視覚障害者に同居者が同伴している場合は除く)、接触の機会を制限するための対策を講じること。
・ 防護マスク着用義務を維持しつつより機能的に公共交通機関輸送量を確保し、スペースを最適化するため、乗り物内での座席の垂直的利用(当館注:背中合わせ又は顔と顔が向き合わない形)を進めることができる。
・ 同居人同士である場合、また血縁者や安定した対人関係を結んでいる者同士である場合(例えば、配偶者、同居していないが安定的な付き合いのある直系及び傍系の親戚・姻戚関係、親戚・姻戚又は婚姻関係になくとも普段同じ場所を共有し、及び/又は共通する社会生活を送っている者)、公共交通機関を利用する際にその旨を証明する自己宣誓書を提示するならば、1メートルの対人距離は必要ない。
b)公共交通機関の利用者に対する勧告:
・ 強い呼吸器系感染症状(発熱、咳、風邪)がある場合は、公共交通機関を利用してはならない。
・ 可能な限り、オンラインやアプリで電子チケットを購入する。
・ 駅構内、バス停等では、1mの対人距離を確保し指定の通路等を守る。
・ 公共交通機関を乗降する際、1mの対人距離を確保し指定された扉を使う。
・ 他の着席客との距離を確保しつつ、認められた場所のみに着席する。
・ 公共交通機関の運転者に接近したり、情報を求めたりすることは避ける。
・ 公共交通機関の利用中、頻繁に手を消毒し、顔を触るのを避ける。
各交通モードでの技術的対策
<航空>
・ 空港への入場制限を行う。可能であれば、利用者同士の接触を回避するために出入り口の扉を明確に分離する。
・ セキュリティチェック前の空港内のすべての共有スペースにおいて、混雑を回避するために、入場制限を行う。
・ 航空機内、ターミナル内及びその他の空港施設内(例えば、乗客輸送のためのバス等)で最低1mの対人距離を確保する。以下のような場合には、機内での1mの対人距離確保の例外を認める。
- 3分ごとの換気が行われ、空気の流れが垂直であり、HEPAフィルターが採用され、これらの予防措置を以て非常に高度な空気浄化が可能である。また、保健衛生上の安全プロトコールを採用し、搭乗前の体温測定で体温が37.5℃を超えている場合には旅客の搭乗を禁止する。
- サージカルマスクの使用時間は4時間を超えないようにし、この時間を上回る際にはマスクの交換を確保する。
- 移動に際して乗客同士の密接な接触を避けるため、航空機への搭乗・降機、座席の配置に関してそれぞれ統制を行う。
- オンライン若しくは空港でのチェックイン時点又は搭乗の時点において、COVID19の症状を呈する前及び呈した時点から14日を経ていない感染者との濃厚接触歴が直近2日以内にない旨を証明する所定の自己証明書を旅客から回収する。
- 接触歴を明確にするため、旅客は、降機から8日以内にCOVID19の症状を発症した場合に運航会社及び地域の保健当局への通報を行う義務を負う。
- 機内での人の動きを可能な限り制限する。航空会社は、空港管理会社とともに、座席上 の共用収納棚に入るサイズの手荷物の機内への持ち込みを可能とする特定の手続を定めることができる。また、機内の座席割り当てに基づいて選択的な搭乗・降機を行い、搭乗・降機時の密集を避けるために必要とされるオペレーション時間を確保し、人が動くフェーズを最小限にする(例えば、座席上の共用収納棚付近での接触を避けるために搭乗・降機時に乗客を個別に呼ぶなど)。
- 座席上の共用収納棚に入れる衣類(ジャケットやコート、セーター等)は、他の旅客の衣類との接触を避けるため、搭乗時に運航者から配布される使い捨ての袋に入れなければならない。
<海上交通・港湾>、<地方におけるバス・鉄道・湖水交通機関>(略)
<鉄道>
主要駅においては:
・ 利用客の流れによる接触回避のために、可能であれば、入口と出口の扉を明確に分離する。
・ 混雑低減のため駅及びプラットフォームへのアクセシビリティを最大限確保する。
・ いかなる理由であれ駅構内にいる者は誰でも、鼻と口を保護するため、マスク を使用する。
・ ゲートがある場所においては、体温チェックを実施することが望ましい。
列車内においては:
・ 使用できない座席にマーカーが貼られた車両内において、1メートルの物理的な距離を確保する。
・ 乗客は、鼻と口を保護するために必ずマスクを着用する。
オンライン予約が可能な長距離列車においては:
・ 予防的予約システムにより、社会的距離を確保すること。
・ 車内にウィルス陽性者あるいはウィルス陽性の疑いがある乗客がいた場合に管理できるよう、全ての乗客が識別できる記名チケットとすること。
・ 中/長距離路線の乗客は、バールのある車両への移動を避けるような方法で飲食/支援サービスを利用できる。マスクと手袋を装着したスタッフが、一人分用密封パッケージの食事及び飲料を「席まで」運ぶことでこのサービスが保証される。
・ 高速鉄道が出発する駅では、高速鉄道及びインターシティ専用の入り口において、車両に乗車する前に体温測定を行うことを義務とする。37.5℃を超える体温が検出された場合、乗車は許可されない。
長距離列車の車内において、以下のような場合には1mの対人距離確保の例外を認める。
・ 隣接する座席の利用は、血縁者 及び/又は同一の住居の同居者である乗客による使用のみに限定される。
・ 空調機器の使用及び、駅での停車時には外部ドアを開放することによって車内の空気の換気を行う。空気の流れが垂直になるようにし、駅での停車時間中、乗車・降車用のドアが開放されたままになるよう手順を講じる。また、保健衛生上の安全プロトコールを採用し、乗車前の体温測定を実施して、体温が37.5℃を超えている場合には旅客の乗車を禁止する。
・ 鼻と口の保護のためのサージカルマスクの使用時間は4時間を超えないようにし、この時間を上回る際にはマスクの交換を確保する。
・ 乗客が移動する際、密な接触を避けるため、列車への乗降、割り当てられた座席への着席を個別に統制し、座席の変更は決して行わない。
・ 運行者の責任の下で最低1mの対人距離を常時確保できない場合、向かい合った座席(顔と顔が向き合う形)の使用可能性はつねに排除されなければならない。向かい合った座席と座席の間に距離がある場合も、走行中、対人距離を守る義務につき通知されなければならない。乗客が同居する者同士である場合には、これら規則の例外としてもよい。
・ 乗客各人が、チケットの購入時に以下の旨を証明する自己証明書を提出する。
(i)COVID-19に感染していない、または最低14日以内に義務的隔離に付されていないこと。
(ii)COVID-19に起因する症状(37.5°Cを超える体温、咳、風邪など)を呈しておらず、過去14日間にCOVID-19に罹患している人と接触していないこと;
(iii)前述の症状のいずれかが旅行前に現れた場合、旅行を放棄し、所轄の保健当局に通知する義務を負う。または、鉄道サービスを利用して目的地に到着してから8日以内に症状のいずれかが現れた場合にも同様の義務を負う。
・ どうしても必要な場合を除き、列車内での移動をできるだけ制限する義務が設けられている。
<定期路線でない輸送サービス(タクシー、ハイヤーなど)>
定期路線でない輸送サービスについては、全公共交通サービスに関する一般規則に加えて、第一に、乗客が運転者の隣に座ることを避けなければならない。一般的な車両の後部座席については、安全な距離を確保する目的に鑑み、個人用保護具を着用している場合においても2名を超える乗客を乗せることはできない。後部座席を利用する個々の客については、車両が座席の列の間に仕切りを備えている場合には、マスクの使用は義務ではない。
6名以上の乗客用の車両においては、上記を準用し、マスクを着用しつつ、座席の列毎に2名を超えない乗客を乗せることとする。
その他のサービス(略)
別添20:海外から/への移動
リストAサンマリノ共和国、バチカン市国
リストB
オーストリア、ベルギー、キプロス、クロアチア、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、チェコ共和国、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、ハンガリー、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス、英国、アンドラ、モナコ公国
リストC
ブルガリア、ルーマニア
リストD
オーストラリア、カナダ、ジョージア、日本、ニュージーランド、ルワンダ、韓国、タイ、チュニジア、ウルグアイ
リストE
他のリストに明記されていない全ての国・地域
リストF
2020年7月9日から:アルメニア、バーレーン、バングラデシュ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブラジル、チリ、クウェート、北マケドニア、モルドバ、オマーン、パナマ、ペルー、ドミニカ共和国
2020年7月16日から:コソボ、モンテネグロ、セルビア
2020年8月13日から:コロンビア