海外安全対策情報(2023年4月~6月)

令和5年7月13日
1 治安情勢
イタリア国内の軽犯罪の発生件数は引き続き高い水準にあります。
4月29日に新型コロナウイルスに係る日本政府の水際対策が撤廃され、今期を通じて旅行者が増えつつあると推測され、犯罪被害に遭われる方が第1四半期よりも増加した状況です。
旅券の盗難に遭う方が多くいらっしゃり、なかでも手荷物全ての盗難に遭ってしまうケースが多く見られました。旅券の盗難に遭ってしまうと、警察への紛失届提出や、大使館での帰国のための渡航書発給手続を行わなければならないため、予定していたご旅行を継続できなくなります。また、帰国のための渡航書の発行に際し、最低でも1~2営業日程度の時間が必要であるため、帰国日程を変更せざるを得なくなってしまうケースが多くみられます。
特に、公共交通機関を利用中にスリに遭うケース及びレストラン等で食事中に置き引きに遭うケースが急増しておりますので、ご注意ください。
 
2 日本人被害例
今期中に大使館に通報された被害報告は37件(第1四半期と比べて約1.5倍)でしたが、通報されないケース(旅券は無事で、金銭のみが盗まれた場合など)も多数発生しているものと思われます。
公共交通機関(特にローマ市地下鉄A線テルミニ駅-スパンニャ駅間及び、B線テルミニ駅-コロッセオ駅間)を利用中にスリのグループに取り囲まれ、いつの間にかカバンを開けられ、被害に遭うケースが増えています。お手回り品から決して目を離さず、油断しないでください。特に、混雑した車内でリュックをお持ちの場合は、チャックを開けられても気づけないことがあります。
また、貴重品をリュックに入れて歩き回るのは危険です。貴重品入れごとカバンから抜き取られるケースが多くなっています。貴重品は分散して持ち歩くことで、万が一の場合に被害を軽減できます。
被害状況の例については以下のとおりです。
(1)スリ(24件)
ア ローマ市地下鉄A線乗車中にテルミニ駅-レップブリカ駅間にて、外国人数人にぐいぐいと体を押しつけるように取り囲まれ、電車を降りた際にリュックが開けられていることに気づき、中に入れていた貴重品入れ(旅券及び金銭)が盗まれていた。なお、車内は混雑している状況だった。
イ ローマ市内のバスターミナルにおいてバスを待っていた際に、近くにいた人からなんらかの液体をかけられ、それを拭くためにバッグからティッシュを出して拭いていたところ、バッグがいつのまにか無くなっていた。
(2)置き引き(7件)
ア レストランのテラス席で食事をした際に、隣の席に置いていたトートバッグがいつのまにか無くなっていた。
イ レストランで食事中、椅子の背もたれにかけていたカバンがいつのまにか無くなっていた。
 
3 最近増えている事例
不注意により旅券を紛失してしまう事例が増加しています。(2023年上半期で合計12件)
旅券は海外において日本人であることを証明できる唯一無二の大切な書類です。イタリア国内においては、国内線であっても、本人確認のためにチェックイン及び搭乗時に旅券の提示を求められるほか、駅や観光地において警察等から職務質問され、提示を求められたというケースも多くあります。また、紛失した旅券は偽造旅券など、犯罪行為に使用される可能性も否定できません。旅券の保管には、細心の注意を払ってください。
当館で認知した典型的な事例は以下のとおりです。
ア 帰国便にチェックインするために、空港において旅券を提示しようとしたところ、旅券がないことに気がついた。恐らくホテルに置き忘れたと思われ、フロントに問い合わせたが、旅券の発見には至らなかった。
イ ホテルに滞在中、荷物を整理していたところ旅券を紛失していることに気がついた。前日にチェックイン時に提示した以降、どこにあるか分からなくなってしまった。
 
4 特異な犯罪事例
  ローマ市内にあるテルミニ駅及び同周辺地区において、窃盗、強盗及び傷害事件がたびたび発生しております。警察が警戒を強化しておりますが、挙動不審な人物がいた場合には近づかない、夜間人通りが少ない時間に出歩かないなど、自分の身を守るために基本的な対策を励行してください。
 
5 テロ・爆弾事件発生状況
特になし。
 
6 誘拐・脅迫事件発生状況
  特になし。
 
7 対日感情の変化
  特になし。
 
8 日本企業の安全に関する諸問題
  特になし。