海外安全対策情報(2023年7月~9月)

令和5年10月20日
1 治安情勢
イタリア国内の軽犯罪の発生件数は引き続き高い水準にあります。
日本国内の夏休みシーズンと重なった今期には、旅行者が増加したと推測され、犯罪被害に遭われる方が第2四半期よりも増加した状況です。
旅券の盗難に遭う方が多くいらっしゃり、なかでもかばんの中に入れていた貴重品入れを盗難に遭ってしまうケースが多く見られました。旅券の盗難に遭ってしまうと、警察への紛失届提出や、大使館での帰国のための渡航書発給手続を行わなければならないため、予定していたご旅行を継続できなくなります。また、帰国のための渡航書の発行に際し、最低でも1~2営業日程度の時間が必要であるため、帰国日程を変更せざるを得なくなってしまうケースが多くみられます。
特に、昼下がりの時間帯に公共交通機関を利用中、スリに遭うケース及びレストラン等で食事中に置き引きに遭うケースが急増しておりますので、ご注意ください。
 
2 日本人被害例
今期中に大使館に通報された被害報告は54件(第2四半期と比べて約1.5倍)でしたが、その他にも旅券は無事で、金銭やスマートフォンなどの貴重品のみが盗まれたとのご連絡も多数受けています。
事例としては、公共交通機関の利用中にスリのグループに取り囲まれ、いつの間にかカバンを開けられるケースや、駅構内などでいつの間にかカバンが開けられているケースが増えています。お手回り品から決して目を離さず、油断しないでください。特に、混雑した車内でリュック等をお持ちの場合は、チャックを開けられても気づかないことがあります。
また、貴重品をまとめてリュックに入れて持ち歩くのは危険です。貴重品入れごとカバンから抜き取られるケースが多くなっています。貴重品は分散して持ち歩くことで、万が一の場合に被害を軽減できます。
被害状況の例については以下のとおりです。
(1)スリ(39件)の典型的事例
ア ローマ市地下鉄A線乗車中に、混雑した車内で外国人からテルミニ駅まであと何駅かと質問された。親切心で表示板等を確認して教えてあげたが、電車を降りた際にリュックが開けられていることに気づき、中を確認したところ、貴重品入れ(旅券及び金銭)が盗まれていた。
イ ローマ市地下鉄の駅から地上に上がる階段において、スーツケースを上まで運ぶのを手伝ってあげると言われ、一緒に地上まで運んだところ、持っていた別のカバンから貴重品が抜き取られている事に気がついた。荷物を運ぶのを手伝ってくれた人はいつの間にかいなくなっていた。
(2)置き引き(10件)
ア 長距離列車を利用中、荷物を座席に置いたままお手洗いに行き、戻ってきたら荷物がなくなっていた。
イ 旅券をホテルに残置したまま出かけたところ、戻ってきたら旅券がなくなっていた。ホテルスタッフに告げたが、対応してもらえ無かった。
 
3 最近増えている事例
(1)旅券紛失
不注意による旅券紛失事例が増加しています。(今年の合計21件)
旅券は海外において日本人であることを証明できる唯一無二の大切な書類です。イタリア国内においては、国内線であっても、本人確認のためにチェックイン及び搭乗時に旅券の提示を求められるほか、駅や観光地において警察等から職務質問され、提示を求められたというケースも多くあります。また、紛失した旅券は偽造旅券など、犯罪行為に使用される可能性も否定できません。旅券の保管には、細心の注意を払ってください。
当館で認知した典型的な事例は以下のとおりです。
ア イタリア国内線を降機後、機内に旅券を忘れてしまったことに気がついた。航空会社に照会したものの、旅券の発見には至らなかった。
イ 帰国直前にホテルにおいて荷物を整理していたところ、旅券を紛失していることに気がついた。チェックイン時に提示した以降、どこにあるか分からなくなってしまった。
(2)交通事故
日本人観光客が被害者になる交通事故がたびたび発生しています。一般的にイタリア国内の交通事情は日本と比べると劣悪です。信号無視や歩行者横断妨害は日常茶飯事です。特に、横断歩道周辺では周囲の交通状況によく注意してください。また、横断歩道のない大通りなどは決して横断しないでください。
 
4 特異な犯罪事例
  ローマ市内にあるテルミニ駅及び同周辺地区において、窃盗、強盗及び傷害事件がたびたび発生しております。警察が警戒を強化しておりますが、挙動不審な人物がいた場合には近づかない、夜間人通りが少ない時間に出歩かないなど、自分の身を守るために基本的な対策を励行してください。
 
5 テロ・爆弾事件発生状況
特になし。
 
6 誘拐・脅迫事件発生状況
  特になし。
 
7 対日感情の変化
  特になし。
 
8 日本企業の安全に関する諸問題
  特になし。