パスポートの盗難・紛失事案の増加について(パスポート、貴重品携行に際しての注意喚起)

令和6年10月3日
   以前よりイタリア国内ではパスポートをはじめとする貴重品の盗難・紛失事案が発生していましたが、最近、発生数増加が顕著となっています。すでに当館管内では、パスポートの盗難・紛失件数が昨年1年間の件数を超えている状況です。
   貴重品等の盗難被害・紛失の届出をする方の殆どは旅行や出張でイタリアを訪れている方ですが、在留邦人からの届出件数も増加してきています。
旅行や出張で滞在されている方がパスポートの盗難・紛失に遭われた場合、パスポートの再発給等に日本国内から戸籍謄本などの取り寄せが必要となるため、大半の方が予定していた旅行を続けられなくなったり、予定していた帰国便で帰れなくなったりしています
   旅行や出張を滞りなく終えるためには、携行するパスポートや貴重品に十分な注意を払うことが必要です。
 
   以下に盗難・紛失のよくある事例を列挙しますので、ご一読の上、パスポートを含む貴重品管理の参考としてください。
 
0 一般的な注意事項
     スリなどの犯罪者はプロ集団です。華美な服装や、明らかに高価であると分かる見た目の装飾品(宝石や高級時計など)を身につけていると、犯罪者に狙われる可能性が高まります。在留邦人の方は、不要な場面で持ち出さない、身につけない、ご旅行者の方は、イタリアに持ってこない、お持ちいただく場合、身につける必要がない場面ではホテルのセキュリティボックスに保管する等、管理にはご留意ください。
 
1 公共交通機関の車内で
   ⑴  ローマ市内で混雑した地下鉄に貴重品が入ったリュックを背負った状態で乗車した際に、他の乗客とぶつかる場面があったものの、特に不審な動きをする者は見受けられず、気にかけなかったが、降車後にリュックを見るとリュックが開いており、中に 入れていたパスポートや財布がなくなっていた。
      ⇒(対策)
         バスやトラムを含め、公共交通機関をご利用になる際には、カバンの口を塞ぐように体の前方に保持するようにしましょう。
   ⑵  高速列車を利用している際に、貴重品入りのカバンを席に置いたままお手洗いに行ったところ、戻ると荷物がなくなっていた。
   ⑶  高速列車を利用している際に、スーツケースを荷物置き場等の目の届かない場所に置いていたところ、降車時になくなっていた。
      ⇒(対策)
      高速鉄道の停車駅については、改札がない駅も多くあります。犯罪者はこのような駅から列車に乗車し、犯行に及んでいるようです。
      荷物は極力目の届く場所に置いておくようにしてください。
 
2 観光地で
   ⑴  訪問客の多い観光地を訪れている際、カバンがいつの間にか開いており、貴重品がなくなっていた。
      ⇒(対策)
          特に人混みを歩くときには、カバンから貴重品を抜き取られないように注意してください。
          特に、買い物をして財布をカバンにしまった直後などは、犯罪者に財布の位置を見られている可能性があるため、十分注意してください。
   ⑵  レストランで食事中、背もたれに掛けたり、足元に置いていたりしたカバンがなくなっていた。
      ⇒(対策)
           目の届かない場所にカバン等を置いていると、話や食事に夢中になっている隙に被害にあってしまいます。
           ご自身や同行者の目の届くところにカバン等を置くように注意してください。
     特に、レストラン等で道に面した屋外席を利用する際は、椅子の背  もたれに荷物をかけることは厳禁です。
   ⑶  バールでコーヒーを飲んでいる際に、店内に入ってきた物売りに品物を買うように勧められ断ったが、物売りが出て行ったあと気がつくと、カバンがなくなっていた。
      ⇒(対策)
          イタリアでは、物売りがバールやレストランに入ってくることは普通にあり、多くは純粋に物売りが目的ですが、上記の様な事例が発生することがあるので、貴重品から目を離さないようにしてください。
   ⑷   レンタカーを利用して旅行をしていた。食事を取るために、車内に貴重品を残してレストランに行ったが、戻ってくると窓ガラスが割られて、車内の荷物が全てなくなっていた。
      ⇒(対策)
          車外から見える場所に荷物を置いて車を離れると、被害にあう可能性が高まります。
          面倒でも、車から降りる場合には、荷物を持っていくようにしましょう。
          犯罪被害ではありませんが、レンタカーを利用して旅行した方が、後日スピード違反や進入制限区域(イタリア語でZTL)への進入で罰金を科せられるケースが増えています。
          レンタカー利用時には、交通規則等をよく確認し、違反をすることがないよ うご注意ください。

3   自宅等にて
    自宅に保管していたパスポートの有効期限が近づいてきたため、確認しようとしたが、仕舞っておいたと思う場所にパスポートがなく、探したが見つからなかった。
     ⇒(対策)
       パスポートは外国において、日本人であることを証明する最も大事な身分証明書であることを認識し、保管場所には十分注意しましょう。
       保管に関する点ではありませんが、パスポートの裏表紙の緊急連絡先記載欄への記入以外にはパスポートのページにメモや書き込みをすることはできません。
       パスポートのページに何らかの記載が出来るのは、日本及び外国官憲のみです。
   ご自身で何らかの書き込みをすると、パスポートが損傷パスポートとして扱われることになったり、渡航制限にかかる記載との疑義をもたれ、出国や入国ができなくなる場合がありますので、絶対に書き込み等は行わないでください。
 
4 パスポート関係以外で安全な滞在のために参考となる最近の事項
   ⑴  留学に際しての家探しのため、日本国内でSNSを通じ知り合った大家と賃貸契約を締結し、お金を振り込んだものの、イタリア到着後に家の住所に行くと誰もおらず、大家にも連絡が取れなくなった。
    ⇒円安が続く昨今、安い家賃は魅力的ですが、信頼できる物件サイトや不動産屋を介さない取引は、詐欺被害に遭う可能性が比較的高くなります。
   ⑵  深夜に観光地からホテルに戻る際、暗い夜道を歩いていたところ、急に背後から襲われ、金品を強奪されたうえ、転んだ際にケガをした。
    ⇒外国で深夜に人気の無い道を歩行するのは一般的に危険です。近くてもタクシーを利用するなど、少しでもリスクを減らせる行動を取ってください。
 
   以上はほんの一例です。
   沢山の方が様々な形で被害に遭い、せっかくの旅行の計画が台無しになってしまったり、余計な出費を迫られたりしています。
加えて、当館では警察への届出の代行や通訳は行えませんので、当館へのパスポート紛失の届出等に必要となるポリスレポートはご自身で翻訳アプリや通訳を探していただき、現地警察へ届出をして入手する必要があり、それだけでも、非常に大きな苦労に    なるものと思われます。
   また、パスポートと共に現金やクレジットカードなどを取られてしまう方も多くなっています。大使館ではお金をお貸しすることはできないため、万一の事態に備えてお金やクレジットカードは分散して携行することで被害を軽減することが期待できます。

   日本のような安全な国は極めて少ないということを認識し、楽しい思い出を作るためにも、安全にご注意いただけますようお願いします。
 なお、万が一の盗難、病気、けがに備え、渡航に際しては海外旅行保険への加入を強くお勧めします。海外旅行保険に加入していれば、損害の補償を受けたり、医療支援等の保険会社のサービスを受けることができます(ご契約内容による)。
 
   不幸にして被害に遭われてしまった場合には、下記リンクをご参照のうえ、当館までご連絡ください。
   https://www.it.emb-japan.go.jp/files/100452554.pdf
   住所:Via Quintino Sella, 60 00187 Roma
   電話番号:(+39)06-487-991